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「あなたって、変な不動産屋さんだね」
長らく営業職を努め続けて不動産業界で活動するようになると、お客様や同業者から時々「変な不動産屋さん」と言われるようになりました。
「普通の不動産業者は、そんな風にいろんな提案をしたりそこまで走り回ったりしないよ」

我々も当然ながらビジネスですから、利益と効率が大切です。
不動産営業では、甘い希望的観測でお客をその気にさせて引きつけながら、その実は効率優先にドライに割り切って余計な動きは避け、時に条件引き下げさせたりしないといけない。
多くの営業マンは、そう新人時代に叩き込まれるそうです。

ところがどうも私には、そういった「ドライな営業」が出来ない。
はじめっから「出来ることと出来ないこと」ズケズケと言ってしまう。
その上で、最善、次善、それから第三の選択くらいまで提案してしまう。
大切な資産を引き受けるからには、お客様の要望を可能な限り叶えたいから。
そのために、まずはお話をしっかり丁寧に伺う。
それから環境条件を綿密に調査して、個別の特性を洗い出す。
時には、企画営業として建築設計業はじめ様々な業界で培ってきた経験知識まで総動員して、既存業者とは異なるアプローチの提案も行う。
そうするとお客様の本当のご希望と問題点が浮かび上がり、実現可能な最適ルートが定まる。
そんな基本中の基本を外さず、都度都度お客様と相談しながら進めると「最初の話と違うじゃないか」といったご不満も生じにくくなり、円満にゴールを迎えられるのです。

やがて取引が大詰めに差し掛かった時。
「あなたって、変な不動産屋さんだね」と晴れやかな笑顔でお言葉いただく時。
この仕事やってて良かった、誠実に取り組んで来て良かった、と報われる瞬間なのです。